黒トラにゃんこ 我が名はニボシ

ライトなラノベコンテストに参加!! ツンデレな黒トラにゃんこのニボシが、時の流れを追いかけて 遭遇するあんなことや、こんなこと。 楽しんでいたけれるといいな。

ニボシ

          下記リンクより、第一話から読んでいただけます。
          http://niboshi.blog.jp/archives/cat_96424.html

我が名はニボシ その⑩  にぼしの絶望

ニボシの絶望

 

まったく、この女子、どうしたものか。

いちいち怒鳴らないと、思うようにならない。

私の持つ記憶に基づいて、ヒトが言うところの神様モードのチカラを発揮しているのに。

この子の遺伝子には蛮族のDNAしかないのか。

それとも私の記憶に何か、欠落した部分があるのか。私の爪をいれて、直接脳にアクセスすれば、完璧に私が支配できるはずなのだが。

素直に聞けば、プトレマイオス朝の女王みたいに人々の崇拝を得て、世界を支配することだってできるのに、へなちょこ女子は絶望的に使えない。

まあ、怒鳴ってしばらくは、言う事を聞くから、当面この態勢でいくしかない。それにユタカには、この子を通じて私の存在が神に近いものであると伝えることが出来たから、ユタカの力を使って、何とかやってみよう。

検証プログラムによれば、猫への感染の確率はゼロに近かった。しかし、ニューヨークとオレゴン、ダラスでモザイク化した猫の症例が三点確認された。いづれも「自覚者」ではないようだけど、私には同胞や「残る者たち」を守る義務がある。

私のひげがチリチリしたあの時の揺らぎの発信源を特定し、そこから侵入してきた構成体を分析しよう。だか、すでに感染したヒトをもとに戻すことは不可能だろう。揺らぎを生じさせた発信源を突き止めて、そこから解決策を得るしかない。

数学好きのユタカに、私の記憶のなかの、私にも良く分からない呪文を与える事によって飛躍的にその能力を向上させた。発信源の特定にそう時間はかからないだろう。

新聞記者の庄野さんというオンナはなかなか使える。この部屋も彼女の仕事上のつながりから情報を得て準備できた。政府系の情報機関の所有物なのだが、神様モードのチカラを発揮すれば、たやすく使用が可能になった。彼女も既に私の崇拝者だ。

でも、早くこの件を解決して、神様モードの力を発揮することは終わりにしたい。崇拝されるのは、めんどうくさい。

神様稼業をやるよりは、シャケと遊んだり、ユタカに咽喉を撫でられている方がいい。

いけない、いけない。「自覚者」であることを自負せねば。

nodo


 

ランキングに参加してます。ポチをはげみにしますんでよろしくです。 

にほんブログ村 小説ブログ ライトノベル(小説)へ
にほんブログ村

ライトノベル ブログランキングへ

我が名はニボシ その⑦ ニボシの神様モード

        ニボシの願望

あの女子。あなどれないかも。確かに「認識出来る者」が感染しない確率はかなり高いと思われる。その上、私が警告文を出したと、本気で考えているようだ。

撒き散らかした警告文だけど、余り効果はなかったかな。もうこのサイトだけでなくあらゆる通信網が侵食されている。認識されていないだけで、私の観測データによれば、実に世界の20%の人がモザイク化している。ネットに煩雑にアクセスするビジネスパースンの感染率が一番高いから、都市部のほうが感染者は多いけれど、どんな地の果にでもネットは存在しているから、安全な場所など今の地球にはない。

問題は感染が人間に特定されるかと言う事だ。

私としては、ユタカさえ無事なら、このまま静観していてもいいかな。

しかし人間以外もモザイク化するとなると、この時間空間で地球を周回している「残る者たち」への感染の可能性もゼロではない。愛すべき我が弟、シャケも守らなければ。

今走らせている検証プログラムの結果待ちだな。

ヒト以外への感染可能性が0.1%以上だったら、行動開始だ。
にぼしpc
 

直接的な戦いをしなければならないかな。

ヒトが言うところの神様モードのチカラを解放すべきか。

ファラオの王のような賢者がいればいいけど、無理だろうな。

神様モードのチカラは性別がキー。私がチカラを行使できるのはヒトのメスに対してだ。

そういえば女王の何とかってのは野心家でおもしろかったけど、蛮族に身をゆだねたのがいけなかったな。あの時の失敗がなければもう少し私たち、なんとかなっていた。

彼女が美人すぎたのか、本当にお馬鹿だったのか、ここらの記憶が曖昧なのは、種として失敗を忘れたいのか。

何にしても過酷な砂漠に住む蛮族が作り上げた神なる存在はホントに破壊力がある。神の為なら、息子まで殺せるなんて自己破壊プログラムが組み込まれてるんじゃないか。かかわりになりたくない存在だ。


 

身近にいるヒトのメスというとあの女子ってことになる。

あまり気が進まない。検証プログラムの結果がゼロならいいのだが。

 

ランキングに参加してます。ポチをはげみにしますんでよろしくです。 
にほんブログ村 小説ブログ ライトノベル(小説)へ
にほんブログ村

ライトノベル ブログランキングへ

我が名はニボシ その⑥ 「認識出来る者」

なつみの日記

 8月5日 

荻野君が戻って来ない。

もう1か月だ。

先輩は、先生や荻野君の家族にお話してくれて、せめて捜索願を出そうと交渉もしたけれど、話しても、話しても、具体的な書類作成も捜索もなかった

だんだん、周りにモザイク状態の人が増えていく。なのに、新聞もテレビも何も報道しない。私と先輩以外の人には、この事態を認識する事自体、許されないことのようだ。ネットを開けると『ここへ行ったら、危ないよ』という、不思議な警告文が表示されるようになった。誰が警告しているのかはわからないけど、グーグルにも、ヤフーも開けると、最初の画面に大きく表示される。そして不思議な事に私が撮った荻野君のモザイク写真が載っていて、「感染するとこうなります」と、まで書かれている。先輩がやったのかと思ったけれど、先輩はやっていないと言う。いったい誰が警告しているのだろう。

みんな認識することはできないけれど、この警告文がでるようになってから、少しはネットにアクセスすることをためらうようになったみたい。でも、ネットの情報やメールなしで、生きていけないぐらい幼稚園児だってわかるはずだ。電車も銀行もコンピューターで制御されなければ、運行もできないし、お金を振り込むこともできない。仕事でPCを使用せざるを得ない大人や、携帯なしでは生きていけない私たち。

PCにも携帯にも触った事のない、お隣のおばあちゃん。

多分銀行のATMからかもしれない。おばあちゃんは荻野君のように暴れたり、飛び出していったりしないけど、だんだんモザイク化している。つれあいのおじいちゃんはまったく気にしていない様子だ。でもおばあちゃんは、いつものように、ご飯を作っているそぶりをしてるけど、本当は何もしていないで漂っているだけなので、おじいちゃんはドンドンやせてきている。それでもおじいちゃんは「普段通りですよ」と、笑っている。

どうして、どうして、みんな感じてくれないの。おかしいでしょ。
 

 

9月25日

お隣のおじいちゃんが入院した。栄養失調だ。「ご飯、うちで食べませんか」と、何度も誘ったのに、「ばあさんが、ちゃんと作ってくれている」と、ばかり言っていた。おじいちゃんのバカ。小学生の頃から可愛がってもらっていたから、本当のおじいちゃんと同じぐらい、大切な人なのに。おばあちゃんは1か月前までは、モザイク状だけど、たまに、つらそうな瞳をしていることもあったのに、今は周囲との境目もおぼろげだ。それでも、おうちの前を箒を持って、掃除をしているかのように漂っている。

昨日の新聞の社会面に本当に小さく「モザイク化する隣人たち」という記事が載っていた。こんなにも回りにモザイク状のヒトがあふれているのに、はじめてみる記事だ。私と先輩以外の人で、分かってくれる人がいる。うれしい。先輩に連絡して、この記事を書いた人に会いに行こう。

 

9月27日

昨日、新聞社というところへはじめて行った。庄野さんという女性の記者の人は、用件を言うと嬉しそうに笑ってくれた。庄野サンはこの事態を最初から認識していて、何度も何度も記事にしなければと、主張したのに誰一人庄野さんの言葉を聞いてくれなかったそうだ。いろいろな角度から記事を提出してけれど、馬鹿なことを書くなと言われ、もっと大事な殺人事件やら、強盗事件があるだろうと、笑われていたという。先日の記事は、なんとデスクがモザイク化して、彼女の記事をチェックする人がいなくなり、その隙をぬって掲載したそうだ。でも、社内からは黙殺。普通ならどんな記事でも、少しは来る読者からの電話や手紙での反論、激励すら一通もなかった。私たちから連絡が来なければ、やはり自分がおかしいのだと、病院へ行く予約を取るところだったかもと笑いながら話してくれた。

分かる。

自分がおかしいのかも、と思うのはつらい。

私には先輩がいてくれたけど、庄野さんは一人で戦っていたのだ。

庄野さんの笑い顔は、本当は泣き顔なのだ。

デスクを含め、実はこの新聞社内でも結構な人数がモザイク化していた。彼らは、荻野君のように、毎日モザイク化以前のように、きちんと出社して仕事をしている風だけど、何も食べず、ふわふわと漂い、実はなにもしていない。うちのクラスのように、周囲の社員たちはその事実を認識できない。そして、働いていない人の分の仕事をアップアップしながら、淡々とこなしているのだという。

庄野さんは、「モザイク化する隣人」の記事をシリーズ化して、毎日小さなスペースでもいいから、掲載を続けると言い切った。「黙殺されている事を逆手にとっての攻撃よ」と、言う彼女は、かなりカッコイイ。この記事の掲載により、少数でも私や先輩のように、「認識出来る者」を集められれば、この事態を解消するための何かをはじめられる。

庄野さんのカッコよさに触発されて、私にも出来る事を考えた。

ネットで危ないと言われているサイトのダウンロードをしてみよう。

かなり、危険だけど、予感として「認識出来る者」はモザイク化しないのではないかと、思う。

先輩にそばにいてもらえば、そのサイトの解析もしてもらえるし、モザイク化しないことが実証できれば、これからの戦いに立ち向かう力になるはず。

 

9月30日

先輩にダウンロードはダメと怒られた。 「なつみちゃんは無茶だよ」と、言われた。

予感だけで、そんな事をしてはいけないらしい。実は先輩はここ2ヶ月、あの警告文

の出所や、そのあやしいサイトについてかなり調査していたらしい。

ちゃんと教えてくれればいいのに。

先輩は本当に無口なんだから。

先輩の家のPCは猫の寝床ではなく、ちゃんと機能していたんだ。先輩はPCをいじりながら、いろいろ説明してくれた。

なんとアップされていた私の撮った荻野君の写真は、先輩のPCからアップロードされたらしい。

何らかの遠隔操作なのかもしれないけど、そんなウイルスもどきのものは発見されないんだよ、不思議だなと言う。

例によって、本棚の上からあの猫が私を見下していたので、「あの猫が犯人よ」と、言ってやった。いつもPCの上で寝ているのは、そのためにちがいないと、続けたら、大きな眼で猫が私をにらんだの。

先輩は大笑いして、「ニボシはそんな子じゃないよ」と本棚からやさしく猫を抱き上げて、のどを撫でた。

冗談のつもりだったけど、もしかしたら、本当にあの猫の仕業かもしれない。

人間がモザイク化するのだから、猫がPCを使いこなしても不思議じゃない世界だよね。

みおろ酢ニボシ

 

ランキングに参加してます。ポチをはげみにしますんでよろしくです。 
にほんブログ村 小説ブログ ライトノベル(小説)へ
にほんブログ村

ライトノベル ブログランキングへ

我が名はニボシ その⑤ 黙殺される不具合

        なつみの独白

ホント先輩が一緒でよかった。

先輩、昼休みにますます、モザイクっぽくなっている荻野君をうちのクラスに見に来てくれた。もうどうしようもなく変なことになっている荻野君なのに、みんな普通っぽく無視している。もしかして、私がおかしいのかもしれないと言った言葉を、先輩は確認しに来てくれた。

本当に素敵。

「大丈夫だよ。なつみちゃんの目がおかしいわけじゃない。なぜ、みんな何も言わないのかな。彼を助けなきゃいけない」と、言ってくれた。

私がおかしくなったのではないのだ。先輩の言葉に、長い間、悩んでいた緊張が解けて体の力が抜けちゃいましたよ。ああ、先輩、やっぱり頼りになります。

でも、その時荻野君の様子が本格的におかしくなった。

もともとクラスからの独立宣言をするような、変わった男子で、あまりしゃべらないけれど、自信は持っているぞというオーラを感じさせる存在だった荻野君。

その彼が突然、立ち上がると、暴れ始めた。

「ぼくはぼくでいたいのにぃいい」

でも輪郭がガクガクしている荻野君が暴れても、物理的インパクトはあまりなかった。

みんな知らん顔。私たちだけが彼をとめようと頑張ったけど、荻野君、窓から外へ飛んでいってしまった。

でもここ4階なのに。

みんな、どうして完全無視なのだろう。

分からない。こんなのおかしい。

でも、大丈夫。先輩がこの事実を共有してくれたもん。

私がおかしいわけじゃないことを知ってくれる人が、たった一人でもいてくれる。

 

にぼし5
 

        ニボシの困惑

解析に丸一日かかってしまった。

荻野なる者と同様の現象は散発的ではあるが、地球各地で起こっている。そして、それは周囲に黙殺されている。異なる時間空間からの構成体を認めることは、精神的にヒトとしての存続を危うくするからなのか。

では、この女子とユタカはなぜこの事態を認識できるのか。

・・・・・・

時間軸の揺らぎは、この間の一瞬のみでその後は観測されていない。

あの一度の揺らぎで、侵入は完了してしまったようだ。現象としては、ネット上のどこかのサーバーにその構成体が常駐している。とはいっても、その構成体はすでにありとあらゆるデジタル通信網を侵食しているようだ。該当サーバーを攻撃しても、この事態を終焉に導くことは不可能だろう。多分、具体的な経路は、携帯かPCでのダウンロードによって機器に伝播し、持ち主に直接感染すると思われる。

どうしたものかな。

ネットに侵入して警告を撒き散らすぐらいか。

しかし、警告しても、ヒトはその事実を認めることはできないようだ。

こういうのを八方ふさがりというのだな。

構成体に侵食された人間は、だんだん自分が自分でなくなる恐怖を味わいながら、「生なき者」へとモザイク化していく。周囲のものは、その事実を認めない。認めることが出来ない。そして、どんどん「生なき者」が増殖していく。

 

 

当面は静観するしかないのか。

所詮ヒトの話だ。私たちを庇護もするが、迫害もするヒトの問題だ。

四旬節であぶり殺され、穀物の精だと言って刈入れのたびに打ち殺されたりした「自覚者」でない同胞たちの記憶が甦る。

ああぁ、PCの上に一日丸まっていたから、身体が熱くなった。

エアコンのある居間のソファで。シャケに身体を舐めてもらおう。

ランキングに参加してます。ポチをはげみにしますんでよろしくです。 
にほんブログ村 小説ブログ ライトノベル(小説)へ
にほんブログ村

ライトノベル ブログランキングへ
最新コメント
アクセスカウンター
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

カテゴリー
ギャラリー
  • 我が名はニボシ  (完結したかな) 【完結】
  • 我が名はニボシ その⑬ まだまだニボシ大忙し (最終回)
  • 我が名はニボシ その⑬ まだまだニボシ大忙し (最終回)
  • 我が名はニボシ その⑬ まだまだニボシ大忙し (最終回)
  • 我が名はニボシ その⑫  そういう展開?
  • 我が名はニボシ その⑪ なつみのタメ息
  • 我が名はニボシ その⑩  にぼしの絶望
  • 我が名はニボシ その⑨ なつみの災難
  • 我が名はニボシ その⑧ 安息と追憶
ランキングに参加中
ライトなラノベコンテスト QuickBooksララノコン情報
  • ライブドアブログ